「そうか分かったぞ」
「なんだい?」
「ディンギルの少年が佐渡先生から肉を奪って食うような強い者が弱い者から自由に奪って良い社会は長続きしない」
「なんで?」
「弱い者が滅びるか、徒党を組んでクーデターを起こすから」
「気分次第で奪われるのではたまったものではないわけだね」
「そうだ。しかも命すら気分次第で奪うのでは、生きろという方が難しい」
「社会は破綻するわけだね」
「では、そこで破綻していないとしたらどうだろうか」
「は? どう考えても破綻するじゃん」
「破綻させないシステムが社会に組み込まれていたとしたら」
「どんなシステムだよ」
「奪われた物の損害を補填するシステムだ」
「えっ?」
「要するに一方的に奪われる弱者を救済するシステムが存在しないとシステムが破綻してしまう」
「じゃあ、救済システムがあったとしたらどうなんだ?」
「それはゆりかごから墓場まで面倒を見る高福祉社会と同じで、あらゆる損失を社会が補填する極めて高コスト社会になる」
「あまり嬉しくないイメージだね」
「そうだ。好き勝手に奪える代償として負担するコストは膨大だ」
「そんな高コスト社会はやめてしまえ」
「神の命令だと辞められない」
「大魔神様か!」
「ではどうするのか」
「どうしたらいいんだ?」
「アクエリアスの水で弱者は皆殺し。ディンギルなんぞ弱者にくれてやるが、実際は死ねということ」
「ひ~」
「強者は奪う対象を変更すれば良い」
「地球から奪うわけだね」
「その前にアクエリアスから反波動エネルギー体を奪う」
「質問です。ディンギルの強き者は男だけで地球を征服しても子孫を残せません」
「うん。だからね。女子供のような弱き者はディンギルの新社会には要らないものなんだ」
「ひ~」
「強者を最初から強者として産み出すシステムがあるのだろう」