2014年02月21日
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三百字小説『ミステリー・ミトコンドリア・イブ』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 俺は、全ての人類の始祖。ミトコンドリア・イブに会うためにタイムマシンで太古のアフリカに飛んだ。期間は1年間だ。1月1日に過去に降り立った俺は、12月31日は帰らねばならない。

 ところが何日見張っても、ミトコンドリア・イブは現れなかった。

 あと約1週間で期限切れという頃には俺も諦めムードだった。

 ところが、その時、見たことも無い女性がいきなり俺の前に現れた。

 「おまえは誰だ」

 「イブよ」

 「なぜ今まで会えなかったのだ」

 「私はイブの夜にだけ現れます。ミトコンドリア・イブだけに。メリークリスマス!」

 俺は、探していた相手は彼女ではないと強く感じた。

(遠野秋彦・作 ©2014 TOHNO, Akihiko)

遠野秋彦