「ヤマト2199に勘違いが落下する日ってなんだい?」
「バラン星に太陽が落下した日みたいに、基地を犠牲にしてヤマトを仕留められかなかったがっかり感がある日」
「どういう意味だよ」
「いやー、久々にエキサイトしたな」
「何に対して?」
「コミックウォーカーのヤマト2199(むらかわ先生版)の入口を見て」
「どこにエキサイトしたんだ?」
「ここだよ」
「なんてこった。これだけ男が山のように出てくる作品なのに、男性向けと言い切られたぞ。ファンは全員ホモだと思われているのか?」
「いや、ホモ要素こそ女性向きの特徴だ」
「ひ~」
「つまりだな。もともと女性ファンは多いわけだし、事実としてSBヤマトでは木村ファンのお姉さま方と古代ファンのお姉さま方の間で小さくなって映画を見ていたのだ、それが綺麗さっぱり無かったことにされている。無かったことにされるのは早すぎると思うがそれでも綺麗さっぱり無かったことにされている」
「なんで無かったことにされるんだよ」
「これがオタクのお約束だからさ」
「ひ~」
「このお約束によって、出来が悪い訳では無い、アニメの実写リメイク映画もことごとく駄作呼ばわりされて抹殺されているのが現状だろう」
「ひでえなあ」
「オタクっていうのはもともと酷いものなので、当たり前と言えば当たり前だけどな」
「そこまで言うか」
「まあ、アニメの2199に『男性オタク向け』的な要素が包含されているという考察は準備してあったので、そこまでは百歩譲って認めよう」
「認めちゃうのか」
「あくまでアニメの2199に関してのみな。しかも百歩譲っての話ね」
「じゃあ、その場合の問題は何だよ」
「このカテゴライズはアニメの2199用のカテゴライズではないことだ」
「そうか。これはあくまでむらかわ先生の2199コミックに対するカテゴライズか」
「自分が見るところ、こっちのコミックはそこまで露骨な『男性オタク向け』にはなっていない。まあ、まともな感覚を持った人間が普通に作れば露骨な『男性オタク向け』になるわけない……といえばそうだけどね」
「ひ~」
「でも、むらかわ先生が偉いのは、ちゃんとそのへんの軌道修正を行いつつコミカライズをやってるところだ。そこは偉い」
「な、なるほど……。で、君が言いたい話ってなんだい?」
「ヤマトの死角の話」
「死角?」
「ヤマトはまだ拡大している。拡大しているからこうして新しい場所で我々の目に入る。入るのだが、入ったヤマトが健全かといえばそれは別の問題だ。普通のオタク向け作品と同じように扱われてしまう側面が多々あり、同じ方法論で処理されてしまう傾向がある。しかし、それは本来ヤマトに付いていたはずの膨大な女性ファン層を切り捨てる行為であり、実はヤマト拡大へのブレーキとして機能してしまう」
「ファン層を拡大したいのにファン層を削ってしまうわけだね」
「そうだ。いくらヤマト2199で女性キャラが増えたと言っても、男性キャラはもっと増えている。女性にアピールする要素は大きいはずなのに、そちらの方向でのファン層開拓への意欲があまりにも希薄すぎる。結局マスコミは『女性キャラが増えた』という切り口でしか取り上げないケースが多い」
それだけじゃないぜ §
「ミリタリーとかアクションとかバトルって言葉がキーワードとして付いているけれど、この時点で公開されている最新話はEX178からメルダが来て交渉する話で、実はアクションシーンも無ければバトルシーンも無い。まあ一応彼らは軍人だからミリタリーものと言えないわけでは無いが、戦わないで助け合う話なのでミリタリー色も強くない。でも、ミリタリー、アクション、バトルというキーワードが付いてしまう。君は本当に交渉する気があるのか」
「交渉じゃないって」
「しまった。そうだ交渉じゃない。君は本当に売る気があるのかってこと。自分からビジネスチャンスを潰しまくって、それでビジネスする気があるのか。その本気度が不安だ」
「あくまでシリーズとしてはってことじゃないか?」
「バトル要素なんて、あるときにしかないぞ。無いケースも多いぞ。最大のバトルが古代と島の口げんかとか。バトルやアクションはヤマトの本質でも何でもない」
「ひ~」
「結局、あまり本質を突いていないカテゴライズは、ヤマトと相性は悪くない人まで遠ざけてしまう」
「ガンダムに脳天気な正義のために戦っているガンダムガンダムぅ~♪ってCMソングを付けるようなものだね」
「まあ似たようなものだな。昔良くあった勘違いガンダム的なものに近い」
「どうしてヤマト復活篇やSBヤマトはカウンターにならないの?」
「ちょっと考えれば分かるが、単発の映画と映画に近い品質のTVシリーズでは露出量が段違いだ。ヤマト復活篇は1本。SBヤマトは1本に過ぎないが、2199は7本相当なのだ。それに加えて劇場とテレビで露出していて、主題歌が入れ替わっているので、実は7本以上の存在感がある。グッズの厚みも違う。実はSBヤマトのヤマトは模型にすらなっていない。あの時に出た1/500ヤマトは実際には2199ヤマトの先取り版でしかなかったのだ」
「今のヤマトの公的なイメージの9割は2199が作っているわけだね」
「そうだ。そして、そのことには功罪の両方がある」
「でもさ。男性オタク向けアニメを見る女性層もいるわけじゃん。それでいいとは言えないの?」
「言えない。なぜならそういう層とヤマトファンの女性層はあまり一致しないからだ。だからファン層の盛大な取りこぼしが起きているのではないか、という危惧がある」
「ひ~」
「女性キャラのフィギュアを何バージョンも作ってるゆとりがあるなら、もっとかっこいい男のフィギュアも作れよって意見はよく耳にするしな」
「君の意見じゃないのか」
「ちょっとはお耽美な世界のことも考えてやれよ」
「お耽美って……。かなり死語じゃないか?」
「ドメルボーイズセット、カップリングは自由自在ってアイテムがなぜ出てこない」
「それは君の願望かい?」
「いや。おいらは1/12アナライザーの方がいい。スカートめくりさせるんだい」
「それはそれで危ない願望だ」
オマケ §
「キャプテン、やりますか? やりますね! っていうキャプテン&ハイニやおいセットとか。考えればいくらでもグッズのアイデアは考えられるな。おいらは買わないけど」
「ひ~。何をやるんだ」
「捨て犬を拾うフラーケンセットっていうのも面白よな」
「ひ~。何を拾うんだ」
「ボタンを押すと『やってくれるな、エルク』と喋るドメル&デスラーセットとか」
「ひ~。何をやるんだ」
「よく考えると801サービスも満点だよな、ヤマト2199って」
「ひ~」
「そもそも、デスラーが風呂に入っていると言うだけで話題になるんだ」
「分かった。2199が内包する801サービス要素は周囲が積極的に潰しまくって芽が出なくなっているわけだね」
「2199は作品は可能性を秘めているのに、売り方が貧しいよ。やっぱりね。森雪抱き枕とか、そんなもんオフィシャルで作るなよ。勘違いしているとしか思えない」
「作るならドメル抱き枕にしろと」
「いや、違うから。そういう意味じゃ無いから」
「デスラーが先か」
「それも違うから」