「その商品は下品すぎる」と俺は上司に怒られた。しかし、小便小僧とは普通こういうものなのだ。
とはいえ、社風に合わないと言われると考えざるを得ない。
そこで小がダメなら大があるということで、大便小僧を提案したがもっと怒られた。やはり下品はいけないらしい。
俺は発想を練り直した。大小にこだわってもダメなのだ。もっと斬新な発想をしなければ。
要するに小で始まり僧で終わっていればいいのだ。俺は夜も寝ないで昼寝してついに新しい企画を考えた。
小虚無僧だ
深い編笠をかぶれば、小さな小僧は股間まで隠れるという仕掛けだ。しかし、編み笠の隙間からちゃんと水は出る。
得意げに企画を上司に見せた俺は首になった。
(遠野秋彦・作 ©2014 TOHNO, Akihiko)