2014年04月12日
川俣晶の縁側模型局思い出話 total 1725 count

生地の色がこんなではなぜダメなのか

Written By: 川俣 晶連絡先

「子供の頃にこんな本を買ってもらったのだ」

模型工作教室

「それで?」

「良く分からないことが1つあった。生地の色が問題になる理由だ」

生地の色

「ふーん、それで?」

「この歳になってやっと分かったよ」

「え~」

「この本で言う問題キットの特徴は以下の通り」

  • 成形不良 (バリが多い、ゲートが太い)
  • でたらめな説明書
  • スケールが書いていない
  • フィギュアが適合しない
  • 部品の不足
  • 生地の色が悪い
  • 接着剤が潰れている

「それで?」

「このうち、接着剤が潰れていると言う話は今となってはどうでもいい。今の時代、接着剤は別売だ」

「それで?」

「実はバリが多い成形不良のキットは実際に買ったことがある。これは絵空事でない」

「えー」

「でたらめな説明書というとさすがに無いが、実はミスが混入した説明書もこれまた当たり前のように遭遇している。大手メーカーであってもだ」

「ひ~」

「スケールが書いていないというとノンスケール?と思うがそうじゃない。スケールがいい加減なキットは実は多い。ガンダムだとコアファイターのサイズがまちまちとか、戦車で箱に1/72と書いてあっても本当は1/76とか」

「なんでこった」

「フィギュアが適合しないっていうのはCADで設計する今の時代ではあまり無いかも知れないが、他のキットのランナーを転用して同梱しているキットでは上手く合わないパーツが入っていることが珍しくない」

「ひ~」

「部品の不足はそれほど見かけないが、紛失しやすい小部品に予備がないことは多い」

「分かった。それで生地の色は?」

「うむ。最近の自分の持論は灰色一色のキットがいちばん良いということ」

「なんで?」

「好きなように塗れるから」

「悪いキットはなに?」

「色プラ」

「なんで?」

「自分でやろうとした塗り分けと合わないとき、生地の色が違うと色が違って見えてしまう可能性がある」

「それだけ?」

「いいや。実は生地の色がいいと、塗装の手間を減らせる」

「じゃあ、生地の色は大切?」

「厚塗りして生地の色を全部隠せば別だが、そんなに厚塗りしたら細かいモールドが埋まっちゃうしね」

「ひぇ~」

「しかし、今になって子供の頃に読んだ本の意味が分かるとはなあ」

「なんて男だよ、こいつ」

オマケ §

「で、いつの本?」

「初版昭和46年」

「どんな時代?」

「WLの日本の重巡が写真に載ってるな。WLが始まった直後ぐらいだろう。たぶん」