2014年05月01日
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三百字小説『狂ったカーバンクル』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 燃える石炭のごとく輝く鏡を頭にのせた小さな動物がやってきた。

 「やあ、僕はカーバンクル」

 「不思議な姿だね。君の役目はなんだい?」

 「カーバンが来ることを予言する立場なんだ、えっへん」

 「で、カーバンって何? クローディア・カーバンのことかい?」

 「うーん、たぶんカーとバンじゃないかな」

 「あやふやだな」

 「僕は思わせぶりな言葉を語ることだけで、意味なんて知らないよ」

 カーバンクルはその場でクルクルまわって石に頭をぶつけた。

 「だから、バンカーは……なんだっけ? ああそうそうゴルフ用語だね。それとも掩体壕だっけ?」

 クルクルまわったカーバンクルはすっかり狂っていた。

(遠野秋彦・作 ©2014 TOHNO, Akihiko)

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