燃える石炭のごとく輝く鏡を頭にのせた小さな動物がやってきた。
「やあ、僕はカーバンクル」
「不思議な姿だね。君の役目はなんだい?」
「カーバンが来ることを予言する立場なんだ、えっへん」
「で、カーバンって何? クローディア・カーバンのことかい?」
「うーん、たぶんカーとバンじゃないかな」
「あやふやだな」
「僕は思わせぶりな言葉を語ることだけで、意味なんて知らないよ」
カーバンクルはその場でクルクルまわって石に頭をぶつけた。
「だから、バンカーは……なんだっけ? ああそうそうゴルフ用語だね。それとも掩体壕だっけ?」
クルクルまわったカーバンクルはすっかり狂っていた。
(遠野秋彦・作 ©2014 TOHNO, Akihiko)