「オタク界は、徹底的な宇宙戦艦ヤマト排斥でできていたのだが、ヤマト2199あたりで風向きが変わった感もある」
「オタクによって支持されるオタク界の大物アーティストが続々と『ヤマトが切っ掛けでこの業界に入りました』と言うから悪く扱えなくなったわけだね」
「そういう仮説も考えた。事実かは知らない」
「話はそれでおしまい?」
「そうじゃない。その先だ」
「まだあるの?」
「ある」
「それはなに?」
「なんで、ヤマト2199のタイミングでのカミングアウトが増えたのか」
「他のタイミングではあまりみんな言っていないね。でも、そもそもヤマトの新作が無い時代では言いようもないと思うけど」
「しかし、みんな口を揃えすぎる」
「分かった。妖怪の仕業だ!」
「ケータ君、全部妖怪のせいにするのは良くありませんよ。ってかそのネタはとっくに終わってる」
「うぃす」
「じゃあ何でみんなが口を揃えるわけ?」
「オタクを含む世界の状況に対する、漠然と共通するコレジャナイ感があったのではないか。もはやガンダムっていいですね、とすら言えない」
「ガンダムは数が増えすぎて全てに目を通すのは不可能ってことだね」
「そうだ。そもそも、作り手は追っかけはしない。爆発的に数を増やして拡散していくコンテンツを全部把握などできない。自分の仕事関係以外はね」
「じゃあ時代に流されるしかないわけ?」
「流されないためにはしがみつく不動の基準が必要なのだ」
「それがヤマトってことだね」
「平成ヤマトの全26話のTVシリーズ+劇場版程度なら手を出すにも手頃だ」
「多すぎないってことだね」
「しかも、みんな同じものを見ている」
「ノスタルジーだね」
「原因はどうでも良い。問題は同じものをみんな見たという事実だ」