2014年05月15日
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三百字小説『マット運動するティアマット』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 神話の女神ティアマットは、11の魔物を産んだ後で気になった。

 「お腹に贅肉が付いちゃった。運動して減量しなくちゃ」

 ティアマットはマット運動をして汗を流した。

 ティアマットの体重は減ったが、まだ納得できなかった。

 「そうだ。身体を2つに裂けばいいのよ」

 ティアマットは自分の身体を2つに裂いた。「これで体重は半分よ!」

 しかし、半分の身体では思うようにマット運動ができず、また太ってしまった。体重はダイエットを始める前に戻った。

 「私はどうしたらいいのよ!」

 ティアマットはマットの上で涙を流した。

 「じゃあ涙を含んだこのマットが新ティアマットってことで」

(遠野秋彦・作 ©2014 TOHNO, Akihiko)

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