2014年05月29日
遠野秋彦の庵小説の洞 total 1690 count

三百字小説『腹が出たヴァルハラ』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 北欧神話の神、オーディンは大ハーレムの妾達から不平不満を聴きました。

 「この宮殿ヴァルハラ、もっと精悍で引き締まった男らしい宮殿にしてよ」

 そこでオーディンはさっそく宮殿と話をしに行きました。

 「なあヴァルハラよ」

 「なんだいオーディン」

 「おまえ最近腹が出てないか?」

 「えっ?」

 「俺の宮殿なんだからダイエットしろよ。しないと遷都するぞ」

 ヴァルハラは必死に絶食してダイエットしました。

 ヴァルハラは見違えるようにスリムになりました。

 「見事だ」とオーディンも納得しました。「精悍で引き締まった宮殿だ」

 「無駄な贅肉は全てそぎ落としました」

 「で、俺の大ハーレムはどこにいった?」

 「無駄な贅肉は全てそぎ落としました」

(遠野秋彦・作 ©2014 TOHNO, Akihiko)

遠野秋彦