2014年06月12日
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三百字小説『悶々とするデーモン』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 デーモンは悶々としていた。

 なぜなら、1999年に完了すべき地上の破滅が達成できなかったからだ。

 デーモンの侵攻を予言した怨敵ノストラダムスと一緒に、デーモンの立場も失墜した。今や恐怖の大王の名を出しても、怖がる人間などいない。

 もちろん、恐怖の大王は地球を支配するために降臨した。しかし、交通戦争に負けて一瞬で消え去った。ただ、道を渡ろうとしただけなのに。

 そこでデーモンは決意した。今からでも自分が人類を滅ぼす!

 その時、サタンから叱責の声が届いた。「デーモンよ、トンデモに傾倒していないでおまえの仕事をなせ」

 仕方が無いので、デーモンは不幸の手紙の配達に戻った。

(遠野秋彦・作 ©2014 TOHNO, Akihiko)

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