デーモンは悶々としていた。
なぜなら、1999年に完了すべき地上の破滅が達成できなかったからだ。
デーモンの侵攻を予言した怨敵ノストラダムスと一緒に、デーモンの立場も失墜した。今や恐怖の大王の名を出しても、怖がる人間などいない。
もちろん、恐怖の大王は地球を支配するために降臨した。しかし、交通戦争に負けて一瞬で消え去った。ただ、道を渡ろうとしただけなのに。
そこでデーモンは決意した。今からでも自分が人類を滅ぼす!
その時、サタンから叱責の声が届いた。「デーモンよ、トンデモに傾倒していないでおまえの仕事をなせ」
仕方が無いので、デーモンは不幸の手紙の配達に戻った。
(遠野秋彦・作 ©2014 TOHNO, Akihiko)