「なぜ見たの?」
「千明孝一監督作品なので」
「それで?」
「実は小林誠さんの名前もあったので、そっちで注目すべきであった」
「ふーん。それで?」
「このへん、小林誠っぽい。きっと小林誠さんのお仕事って箇所がいくつもあった」
「そもそも映画としてはどうだい?」
「演出やビジュアルは凄くレベルが高いんだけど、ストーリーの骨格がなあ」
「原作の問題?」
「さあ。それは良く分からないけど」
「どこがいかんの?」
「母親がピンチって時にのんきに異世界で冒険なんかしてるか?ってあたりがすっきりしなかった。死んだ妹を生き返らせるために異世界に行くならまだ分かる。既に死んでいる以上、時間を掛けて作業する意味がある」
「じゃあさ。ダメ?」
「いや、いいところもけっこうあるぞ」
「どこが良かった?」
「上から見ると星形の城塞」
「星形でいいの?」
「五稜郭みたいで合理的。あれはあれで戦闘に有利な形状なんだい」
「へー」
「あとさ。巨大化して最終的に翼になる剣とかね。あのへんのビジュアルの圧倒的なイメージは凄いね」