2014年09月05日
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三百字小説『君の縄』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 空襲だった。マツコはやっと数寄屋橋まで逃げ延びた。ナツオも同じだ。

 数寄屋橋で出会った2人はすぐ恋に落ちたが、どちらも家族が心配だ。

 「生きていたら、半年後にまたここで会おう」

 2人は数寄屋橋で再会した。ナツオは名前も聞いていなかったことを思いだした。

 「君の名は?」

 「あらばれちゃったの? これが私の縄よ」

 コートをはだけたマツコの身体は縄でグルグル巻きにされていた。

 「そ、それはSM趣味ってやつかい?」

 「身体は御主人様のものだけど、心はあなたのものよ。ところで提案だけど、あなたも一緒に御主人様に飼われてみない? 奥様がペットを探していたの」

 ナツオはマツコを川に突き落とした。

(遠野秋彦・作 ©2014 TOHNO, Akihiko)

遠野秋彦