2014年09月05日
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感想・映画「ゴルゴ13」

Written By: トーノZERO連絡先

「1983年のアニメ映画だ」

「一言で言うと?」

「世界で初めて3DCGを使ったアニメ映画」

「見たことあるの?」

「昔見た」

「なんで今また見たわけ?」

「3DCGパートからアニメパートになった瞬間、ヘリの密度が上がる驚異の映像を再確認するため」

「実際に見たらどうだった?」

「実はぜんぜん違う映画だと分かった」

「えー」

「この映画はチャレンジングな映像のオンパレード」

  • 逆さまの多用
  • 鏡面の多用
  • CGの使用
  • セックス描写
  • 残酷描写
  • 特定の象徴的利用
  • 人ではありえない軟体ポーズの不気味さ
  • 中盤セックスシーンバックの模様
  • ヘッドライトが流れる映像
  • 虹のような縞模様
  • 回転
  • 各色のガラスの破片
  • シルエットの多用
  • ワニ
  • 光と影
  • 等々

「それで?」

「3DCGの利用とは大胆なチャレンジの1つでしかなかった」

「なるほど」

「これはいい映画だよ」

「どこがいいの?」

「デューク東郷に人間味を感じて終わるところだな。しかも結末は良く分からない。撃たれたのに歩き去る。これは何を意味しているのか分からない。単に当たらなかったという解釈もあるだろうし、デューク東郷は既に死んでいるという解釈もありだろう。撃たれて傷を負ったのに歩き去ったという解釈もありだろう」

「えー」

「そこは明確に分からない結末になっている。これはいい結末だ」

「なるほど。でも3DCGはしょぼかったわけね?」

「だからさ。これも1983年の作品で、アニメクライシス1983に該当する。演出センスがとてつもなくハイレベルなのだが、技術が追いついていない。いろいろな意味でね。まさに超えられない壁に正面から衝突している。それでもまあ、作品としてまとまったのは出崎監督の手腕だろうけれど、この凄みがあまり語られないあたり、客の方の壁も越えてしまった感じがあるな。ともかく見事な作品だ」