2014年11月05日
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UQ HOLDER連載第56回感想【ネタバレ注意】

Written By: 川俣 晶連絡先

「今回も面白いよな」

「どこがいいわけ?」

「助けたくないヤツらを助けるところ」

「で、具体的にどこが良かった?」

「今回で明確に分かったが、UQ HOLDERは【社会の常識】【ネットの正義】の否定者としてそこにある」

「【社会の常識】ってなに?」

「有力者は強い」

「【ネットの正義】ってなに?」

「ネットで繰り返し喧伝されてみんなが信じている正義は正しい」

「それらを否定することにどんな意味があるわけ?」

「結局、この現実世界も作品世界の幸せな世界ではないってことだ」

「えー」

「ブルースブラザース的世界観というかな。あくまで納税しようとしているだけなのに、州軍が出動して包囲されるおかしさ。あれと似たようなものだよ」

「じゃあ、今のネットの正義も否定されるわけ?」

「そうだ。ネットの正義が世の中に通用するとは限らないことを、赤松さんはよく分かっている」

「みんなが正しいと言っていてもダメなの?」

「ダメだよ」

「なんで?」

「赤信号はみんなで渡ると恐くないが、危険が減るわけではないのと同じだ。みんなと同じことを言えば怖くないが、それが真実の正義であるかは別問題だ。ただのストレス解消で弱いものを叩いているだけなら、それはただのいじめだ」

「いじめなら、それと分かるものはないの?」

「いじめというのは、正義の行使という口実がセットでついてまわるものだ。だから、正義の名の下に行われるいじめは、非常にポピュラー」

「なんてことだ」

「だから三太くんは、正義の名の下に行われるいじめの対象にされ、その結果として、正義の名の下に行われるいじめに敵対する行動を取る」

「じゃあ、なぜ三太くんは嫌な奴まで助けるわけ?」

「本来あるべき正義なるものがあるとすれば、それは主義主張ではないからだ。嫌な奴だから死んでも良い……という理屈は成り立たないよ」

「なんで? 嫌な奴なんだろう?」

「嫌に見えても、それは愛故かも知れないからな。新兵を殴る鬼軍曹は、新兵に戦場で死んで欲しくないから殴っているのかもしれないが、新兵から見れば嫌な奴だ」

「じゃあ、三太くんの行動は正しいわけ?」

「だからこそ、今回の主役になれる。苦悩して煩悩を断ちきって人を守る側に付く。まさに人の物語だよ」

「人の物語だと良いわけ?」

「生憎とおいらはロボットでも美少女でも無いものでな。人の物語にしか感情移入できない」

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