アンマ団は殺人集団だった。
                     といっても、別にマッサージ師の殺人集団というわけではない。
                     有間(あんま)さんの一家がやっている個人営業の殺人集団でしかない。
                     さて、この家に生まれると赤ん坊のうちから殺人術を仕込まれる。小学生に上がる頃には既に初の殺人をこなし、まさに殺人エリートだった。
                     しかし、3代目になって風向きが変わった。彼は餡饅が大好きで、しかも婿養子に入って名字が変わった。
                     おかげで周囲の人達は、餡饅が好きだからアンマ団だと誤解するようになった。
                     3代目は餡饅を頬張りながら愚痴った。
                     「あんまんあんまんって、それはあんまりだ」
                     アンマ団よ永遠なれ。
                     あんまり期待はできないが。
                    
                    
                    (遠野秋彦・作 ©2015 TOHNO, Akihiko)