エンマ団は殺人集団だった。
あらゆる嘘はお見通しで、まるで閻魔様の集まりだと言われたのが名称の由来だ。
エンマ団の真の能力は相手の真の姿を見抜く超能力だった。いかなる変装も、どれほど上手い口先もその能力の前では無力だった。
あるエンマ団の団員が標的の男を追い詰めた。
「違う。標的は独身だろう? 俺には最愛の妻がいるんだ!」
「嘘はばれるぞ。超能力発動! えい!」
男の心には最愛の妻がいた。男は嘘を付いていなかった。
「嘘は付いていないようだな。だが殺す」
「なんでだよ!」
「問答無用!」
「はちこ、助けてくれ。SOS!」
かくして、男は殺された。
なぜかって?
最愛の妻はアニメキャラだったからだ。
(遠野秋彦・作 ©2015 TOHNO, Akihiko)