2015年02月19日
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三百字小説『殺人集団エンマ団』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 エンマ団は殺人集団だった。

 あらゆる嘘はお見通しで、まるで閻魔様の集まりだと言われたのが名称の由来だ。

 エンマ団の真の能力は相手の真の姿を見抜く超能力だった。いかなる変装も、どれほど上手い口先もその能力の前では無力だった。

 あるエンマ団の団員が標的の男を追い詰めた。

 「違う。標的は独身だろう? 俺には最愛の妻がいるんだ!」

 「嘘はばれるぞ。超能力発動! えい!」

 男の心には最愛の妻がいた。男は嘘を付いていなかった。

 「嘘は付いていないようだな。だが殺す」

 「なんでだよ!」

 「問答無用!」

 「はちこ、助けてくれ。SOS!」

 かくして、男は殺された。

 なぜかって?

 最愛の妻はアニメキャラだったからだ。

(遠野秋彦・作 ©2015 TOHNO, Akihiko)

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