2015年04月02日
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三百字小説『殺人集団マンマ団』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 マンマ団は殺人集団だった。

 マンマとは幼児語で食事のことだ。幼児語を使う殺人者集団ということで、彼らはマンマ団と言う名前が付いた。

 「俺達は飢えている。マンマを寄越せ!」

 「何でも食べさせてやる。だから命だけはお助けを」

 「俺が飢えているのはおまえの血だ!」

 「ひぃぃぃぃ!」

 警察は、幼児語を使う大人こそマンマ団だと判断して、捜査を開始した。

 だが、捜査官は驚愕した。

 「大変です。候補が多すぎて絞り込めません!」

 「なんだと!?」

 「ほらネットを検索すると、【うまー】とか【もえー】とか幼児語を使う大人ばかり」

 「任せろ、全員逮捕して【やんよ】」

 逮捕第1号は【やんよ】という幼児語を使った彼だった。

(遠野秋彦・作 ©2015 TOHNO, Akihiko)

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