2015年04月25日
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世田谷文学館「開館20周年記念 植草甚一スクラップ・ブック」「特集・戦後70年と作家たち」

Written By: 川俣 晶連絡先

「今日は世田谷文学館が無料だったので行ってきた」

「待て。それは植草甚一を知らないってことか?」

「ぜんぜん知らない」

「知らないのに行くのか?」

「だって、知ってる人より、知らない人の特別展を見に行った方が楽しいだろう?」

「ぎゃふん」

開館20周年記念 植草甚一スクラップ・ブック §

「趣味にはあまり接点が無いけれど、感性にはいろいろ接点がある気がしたよ。意外にもね」

「どのへん?」

「映画へのこだわりとか」

「それだけ?」

「映画の全体を速記として記録する考え方は良く分かった。覚えていることだけ取り上げてそれをあれこれ言うのはおかしいという主張も分かる。映画は全体の構成だよって思えばそんなもの」

「君はそう思うわけだね?」

「そう。XXちゃんが可愛いからそれでオッケーという考え方は取らない。映画はあるテーマを語るために物語が構成されているので、どの部分にも相応の役割がある。それを1つ1つ見ていかないと映画を見たことにならないからね。だから全体を速記で記録する方法論は正しいと思うよ」

特集・戦後70年と作家たち §

「ついでに1階はこれだった」

「それも見てきたわけだね」

「そうだ」

「どこが面白かった?」

「山田風太郎の戦中派不戦日記に、昭和20年の言葉として、日本人はどうせ同じことを繰り返すと書かれていたのが面白いね。今の日本は確かに同じことを繰り返しつつあるよ」

「同じことを繰り返したら馬鹿じゃないの?」

「でもしょうがない

「なぜ?」

「日本人には、緊張感がもう無いからさ。過去の遺産を食いつぶしながらゆるやかに滅んでいくしか無いだろう。戦争をやったら急速に滅んでいくことになるけどね」