「なぜ武蔵村山に行ったのだ?」
「実は、井の頭線の建設にトロッコが使用されたらしいことは明らかなのだが、ぜんぜん写真が無くてイメージが沸かないのだ。そこで、同時代のトロッコとして、山口湖建設用の軽便鉄道の資料を見に行ったのだ」
「遠いだろう?」
「しかし、たまには良い距離だ」
「目的はそれだけ?」
「いや、武蔵村山歴史民俗資料館から西武球場駅まで徒歩で歩けるはずだという目論見もあったのだ」
「そこまでして歩きたいか!」
「一般的に乗り換え可能と認識されていない駅間を歩ききるのが好き!」
武蔵村山歴史民俗資料館 §
「結局、そこで質問もしてみたが良く分からなかった」
「ダメじゃん」
「でも、軽便鉄道の冊子は買ってきた」
徒歩 §
「武蔵村山歴史民俗資料館から、西武球場駅まで歩いたが、ちょっと予想外だった」
「どこが?」
「多摩湖と狭山湖の間を歩くはずなので、湖が左右に見えると思っていた」
「見えないの?」
「そうだ。木が生い茂っていてまるで見えない」
「なんてこった」
「涼しげな湖畔の散歩だと思ったらそんなことはなかったぞ」
「絶望的になりながら歩いたのだね?」
「でも、ある程度【絶望的】になるのは意図したことなのだ。強引に歩ききることが目的なので」
「なんで?」
「無理をしても歩かないと健康上の問題があるからだ!」
「逃げ場のない場所に追い込まないと歩かないわけだね」
レオライナー §
「レオライナー最高!」
「はじめて乗ったの?」
「そうだ」
「なぜいいの?」
「単線、緑の中を走る、マッチ箱のような小さな車両の4両編成というのもいいが、途中で交換する場所があるのだよ。信号所だろう」
「信号所がいいのかよ」
「実はおとぎ電車時代の山口線にも信号所があった。その時代を彷彿させる」
「結局、本質は変わってないわけだね」
「まあレオの球団はどうでもいいんだけどね。レオライナーは好き」
信号所で上下線の列車を交換するレオライナー §