トノマ団は殺人集団だった。
と言っても正式名称ではない。殺害現場に、必ず「ト」「ノ」「マ」の3文字を書き残すことから、付いた名前だった。おそらく、首領の名前がトノマという名前ではないかと噂された。
だが偶然その首領が逮捕された。
酒場で酔って、自分から【あの男は俺が指令して殺した】と告白してしまったのだ。
彼は真っ先に質問された。
「トノマとはいったい何なんだ! 教えてくれ!」
「確かに殺人集団の首領だけど、トノマなんてしらねーよ!」
「じゃあ、なんでいつも現場にトノマって残ってるんだよ」
「逆逆! それは、マノトって読むの!」
刑事達は顔を見合わせた。
「俺の名前は元締め真乃斗(マノト)。よろしくな!」
(遠野秋彦・作 ©2015 TOHNO, Akihiko)