「面白いなあ。また趣向が違う」
「どこが面白いの?」
「やくざ上がりの男が悪党に思えるが、実際にはそれ以上の悪党が軍隊にはゴロゴロしている」
「ひ~」
「そして、日本人の主人公は、悪辣な中国人にいかさまの賭で金を全部巻き上げられる」
「ひ~」
「日本人の女達は、酷い境遇でこき使われて人間扱いされていない」
「ひ~」
「何が従軍慰安婦だ。人間扱いされなかった女は日本人も同じだ」
「ひ~」
「そして、こういう映画を作ることができたのはモノクロ時代の1966年ならではだな」
「ひ~」
「もうこんな映画は作れないよ。軍隊の腐敗なんていうテーマは、肥大化した軍隊が暴走した後の時代にしか作れない。暴走する前は作れないんだよ」
「もう勘弁して。悲惨すぎる」
「でも、その悲惨さが面白いのだ」