2015年06月26日
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感想・映画「多羅尾坂内(1978)」

Written By: トーノZERO連絡先

「愕然とした」

「なんで?」

「クライマックスの結婚式は、事実上ルパン三世カリオストロの城の事実上の元ネタ。結婚式に怪奇男が乱入し、主人公は意外な正体を現す。そしてラストは白くて長い服を着た女性と別れて主人公は車で走り去る」

「えー」

「カリ城は旧ルパンのエッセンスを集めて作られているのだがね。結婚式と結末の部分だけは旧ルパン由来ではなく、ここから来ているのかも知れない」

「そんなことを確実に言えるの?」

「この映画は1978年、カリ城は1979年だからね。作っているときにこの映画を見て影響を受けた可能性もある」

映画の感想 §

「映画そのものの感想を言えば、けっこう地味で暗い。主人公が正体(藤村大造)を見せるのは本当に最後の最後」

「地味なのか」

「色気はあるけどね。バニーガールがウェイトレスをしている店が出たり。セックスシーンもあるし」

「でも地味なの?」

「そもそも、多羅尾坂内そのものが地味なおっさんだからな。藤村大造の正体を見せれば派手だが」

「それで面白いと思った?」

「多羅尾坂内のシリーズとしてお約束を果たしていくとこうならざるを得ないのかなぁとも思うのだがね。中盤までは暗すぎて、終盤はちょっと調子が良すぎる感もある。まあそこが受けているのだろうがね」

「どこがポイント?」

「変装がポイントでは無く、屈折した情念の爆発が見せ場だと思うのならオッケーじゃないのかな」