「この映画の面白いところは、構造的に落雷一発で全てがひっくり返るところだ」
「全てが?」
「そうだ。落雷の前はこうなっている」
- 逃げた虫
- 忘れるための木
- 見つからない焦げたところ
- 見つからないおまもり
- 来ない待ち人
- 生まれつき上手い遊び
「そして、この構造の世界の中で、主人公のぼのぼのは決意する。自分が待ち人になることで、少なくとも【来ない待ち人】は解消されるはずだ」
「ぼのぼの最大の決意だね」
「しかし、それは全面的な拒絶に出合ってしまう」
「自分自身がそもそも欠落を抱えたぼのぼのでは、他人の欠落を埋められないわけだね」
「そうだ。しかし落雷一発で何もかもが変化する」
- そこにいる虫
- 思い出すための木
- 見つかった焦げたところ
- 見つかったおまもり
- 来た待ち人
- 幼い頃は下手だった遊び
「そこが面白いわけだね」
「それほど長い映画ではないが、たった1つの事件を切っ掛けに何もかも変化するのは面白い」
「でも、特に面白いのはどこ?」
「探さし物が見つかるのはすぐに予測できるけどね。生まれつき得意というのが、幼いころは下手で父親に教えられた、と変化するのは予測しがたい意外性がある」