2015年09月03日
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三百字小説『巡洋艦摩耶夫人』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 巡洋艦マヤの艦長はこの船を愛していた。かくして付いたあだ名は巡洋艦摩耶夫人だった。

 ある日、マヤのエンジンを取り外してフリゲートを建造することになった。

 しかし、愛を注がれ整備されてきたエンジンはパワフルであり、試験航海でどこか遠くに飛んで行方不明になってしまった。

 捜索艦隊に参加した艦長は必死に愛を注いだエンジンを探した。

 しかし、いくら探しても見つからない。

 思い余った艦隊司令は、艦長の愛の力に頼ることにした。

 「息子はここにいる! その上、送り出したときとは違う何かに既に変化している」

 艦長は宇宙地図を指さした。

 捜索艦隊はついにフリゲートを見つけた。

 だが、フリゲートは、既にお釈迦になっていた。

(遠野秋彦・作 ©2015 TOHNO, Akihiko)

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