2015年09月13日
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感想・映画「百日紅(2回目)」

Written By: トーノ・ゼロ連絡先

「こんにちは。アララ山賊団のドラミちゃんに最近惚れ込んだトーノです」

「なんていう挨拶だ」

「いやこれも原恵一監督作品だしさあ」

「それで今回見た理由は?」

「下高井戸シネマで上映してたから」

「それだけかい」

「しかし、収穫はあった」

「どんな収穫?」

「原作を読んで、その上で映画も2回目として見ると、やはり良く出来てることが分かったよ」

「どう分かったわけ?」

「最初に見た時、いったい何がどうなっているのか掴みきれなかった。なぜ掴みきれなかったのかと言えば、短編連作の原作に沿って1つ1つの短いエピソードが続く形式で、起伏が読み切れなかったからだ。でも、1つ1つのエピソードをこなしながら、大きな物語は存在する。大きな物語は、目が不自由な妹の死という形で完結する……と見せかけて、同じ日常が続くという話で終わる。この映画、北斎が酒を飲みに出るというシーンで始まり、最後にまた北斎が酒を飲みに出て終わるのだ。あれだけ大騒ぎして結局最初に戻るわけだ。これは物語として非常に良く出来ている証拠。古い映画を見ていて良く分かる」

「語りが熱いね」

「結局さ。物語への敬意を欠く人は多く、物語への敬意を欠いた作品も公開されている場合が多い」

「だからこそ、物語として正しい映画はWelcomeなのだね」

「ちちち。正しいわけではない。そもそも正しい映画という発想そのものに無理がある。ここでは【物語として正しい】ではなく、【物語として健全である】と言ったほうがより適切だと思う」

「その差は重要?」

「そうだ。物語には意外性が必要だ。意外性を担保するには、常に何かの裏切りを用意しなければならない。それは予め決まった正しさなどあり得ないことを示すのだよ。健全な物語は、意外性を含み、主題を回収して終わる」

「で、百日紅の場合、裏切りは何?」

「途中で寝ちゃう女装の男娼?」

「エロエロの予感はあっさり裏切られるわけだね」