2015年11月02日
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濃爆おたく先生はSF者に本当に勝ったと言えるのか?

Written By: トーノ・ゼロ連絡先

「最近Kindle版が出た濃爆おたく先生第1巻の第14話、【愛、ロボット】は、おたく先生とSF者の対決であった。簡単に言えば、ガンダムにケチを付けたSF者におたく先生が反論するという無いようだ。だが、おたく先生は本当に勝ったのだろうか」

「どういう意味? SF者を設定マニアでしかないと糾弾し、【そこにワンダーはあるのか】【背中のサイモンライトが泣いている】で決着したわけではないの?」

「実はそうでもないのだ。SF者は【水入り】を明確に言って立ち去り、おたく先生はそれんに意義を唱えず、それどころかドムが無ければ自分も同じだったとまで言う。これはどういうことか」

「どういうこと?」

「実はこの話はねじれている」

「は?」

「この話はね。おたく者がSF者をやりこめんたように見えるが、実際はそうじゃないんだ」

「実際はどうなの?」

「実はSFの倫理に外れた者が、SFの理屈でやり込められるという構造を持っているのだ。従ってSFを象徴するサイモンライトが涙を流す」

「意味が分からないよ」

「つまりね。このエピソードのSF者は、実はSFファンらしく振る舞っていない。SFファンというのは本質的に【面白ければなんでもいい】人種だ。科学科学と理屈を押しつけるのはSFファンらしくない。むしろ、SFとは科学的では無いがもしXXが存在していたらどうなるのか……という考え方をする。その時、【もし宇宙人が地球に来ていたら】という前提と、【宇宙人なんていない】という前提は両立するのだ。そして、前者の話をしている者に、後者の前提で文句を言う人などいない」

「前提が違うからだね」

「どっちもOKだから、とも言える」

「それで、この場合はどうなるんだい?」

「前提の違う話に割りこむのはまずマナー違反になる」

「なるほど」

「もっとも、SFとはとても呼べないアニメがSFアニメと呼ばれるケースは多く、文句を言いたいSF者は多いだろうから、その点ではあながち無理とは言えない」

「でも、マナー違反?」

「そう。文句の付け方がちょっと違う。アニメ的な発想の硬直性こそが本来SFらしくない部分だが、このマンガのSF者は科学性に執着した。そこはSFらしくない」

「ではSFの理屈でやりこめられているとは?」

「作者と作者の分身たる主人公は、実はSFに明るく、SF的な論旨展開を行っている」

「なぜ作者はSFに明るいと分かる?」

「それはね。各話のサブタイトルにはSFのもじりも多いからだよ」

「ぎゃふん」

「実は一般的なガンダムのマニアは、理屈でガンダム世界を肯定しようとする人が多いのだが、おたく先生はあっさりと非科学性を肯定してしまう。この点で、実はおたく先生は一般的なオタクとはかなり違う振る舞いを示す。そして、【背中のサイモンライトが泣いている】は、完全に本物のSF者にしか言えない言葉。そもそもアニメのキャプテンフューチャーの存在感は薄いが、SF小説読みのSF者にとっての存在感は非常に大きい。まさにスペオペの代表作の1つだ」

「つまり、この話はガンダム者が、SF者をやり込めたように見えて、実際はSF者が道を踏み外した自称SF者をやりこめた話?」

「であるから、最終的におたく先生はこうしなければならなかったと最後に吐露し、SF者は自分自身が自分自身の規範から外れていたことに気づいて立ち去ることになる」

「ほとんど相打ちなんだね」

「そうだ。僅かでも違う展開になれば、おたく先生の方が論破されていた可能性もあると思うよ。もしも、相手のSF者が本物のSFマインド突きつけてきたら、おたく先生は負けていた。もっとも本物のSFマインドがあれば、他人にはそれほど首を突っ込まないと思うけどね」