「実はハッとした」
                    「何だよ」
                    「ルガールは、さりげなく【アクエリアスの水は引く】と言っているのだが、これは理屈から言うとおかしい……と思っていた」
                    「地球上の洪水なら海に流れて水は引くが、惑星全土を覆い尽くす洪水ならどこにも流れ落ちる先はないから、引くわけがないってことだね」
                    「そうだ。でもね本当はもう1つおかしいことがあるんだ」
                    「それはなに?」
                    「アクエリアスは各惑星に水を与え続けているのに、アクエリアスの水は無くならない」
                    「それもおかしいわけだね」
                    「質量保存の法則に反する」
                    「つまりなんだい?」
                    「実は以下の2つを合わせると筋の通った解釈が可能になる」
                    
                    「つまり、各惑星を水没させた後、その水はアクエリアスに戻されているということ?」
                    「たぶんね。一周目の周回は水を与えねばならない。各惑星にはまだ水が無いのだ。しかし、二周目以降は水を与えても意味は無い。既に水はあるのだから。だから、水をアクエリアスに戻す作業が発生していると思って良いと思う」
                    「誰がそんなことをするんだよ」
                    「そこだ。ディンギルの人達を救ったの誰か。実は作中で明言されていない。アクエリアス人と思う人も、別の誰かと思う人もいる。彼らこそが、実は水を戻す作業を行う人々だったのではないか。ついでに、本当にピンチになった人達を助ける救助もしていたのかもしれない」
                    「なるほど。そういう人達がいれば、アクエリアスの水は引くわけだね」
                    「すると、別の謎が解ける」
                    「何が解けるって?」
                    「彼らはまだ存在している。アクエリアスは洪水を起こし続けているが水は減っていない。つまり、誰かはまだ存在していて、水を戻し続けている」
                    「だからなんだよ」
                    「ディンギルは水没しつつあるが、水は引く。運が良ければ置き去りにされたディンギル人は生き残る。謎の人達が助ける可能性もある」
                    「分かったぞ。男だけで生き残るわけではないんだ」
                    「そうだ。女子供を弱き者と呼んで切り捨ててウルクで飛んでいくルガールだがね。男だけでは子孫も作れないと思うのは間違いで、実は全ての女子供を見殺しにしていくわけではないのだ」
                    「ではヤマトの行動は何だったのだ?」
                    「ディンギルに残る貴重な人的資源を奪おうとした泥棒」
                    「前置き無しに攻撃されるわけだね」
                    
                    
                    なぜ今の地球には助けが無いのか §
                    「たぶんね、ディンギルまでは予定通りの水害なので救助される」
                    「地球は、予定外ってことだね」
                    「ディンギルがアクエリアスをワープさせちゃったからね」
                    「ってことは、やはり沖田が波動砲撃って地球を守らなければならない。いずれにしても、謎の宇宙人は洪水を阻止してはくれない。水の後始末してくれるだけだ」
                    「結局沖田は死なないとならないわけだね」