2015年12月10日
川俣晶の縁側ソフトウェア技術雑記 total 2426 count

ネットの時代【ともかくリリースして、問題があればあとから直せば良い】は本当に正しいのか?

Written By: 川俣 晶連絡先

「最近、いろいろなソフトウェアの品質が落ちているのは特に痛感するところだ」

「なぜ品質が落ちているの?」

「品質を最大にしてリリースしようとしていないからだ」

「なぜそうしないの?」

「ネットの時代、バグを取って利用者にアップデートしてもらうコストが低いからだ。問題が出てもあとから直せば良い、という意見は根強い」

「すぐに直るのならそれでいいのではないの?」

「残念ながら、そんな簡単な話ではない。まず、動かなければすぐに別のソフトを試す人たちがいる。彼らは別のソフトが動けばもう戻って来ない。要するにソフトが動けばいいからだ。それから、一度付いた悪評は永遠についてまわる場合がある。最初に、【動かないから★1つです】という評価が付き、それを見た他の利用者も避けて通ったら、いくら動くようになっても永遠に評価は★1つでしかない」

「それは、利用者が少ない段階ではレビュアーも少ないから、たった1人の評価が大きな影響力を発揮するということ?」

「そうだ。徐々に良さをアピールすることもできない。何しろ、バージョンの違いなど利用者には伝わらないシステムが多いからな。特定バージョンの問題がそのソフト全体の評価と混同されやすい」

「つまりなんだい?」

「すぐに直せば良いという発想は間違いで、やはり品質は重要なファクター。よほど実績のある何かであれば、過去の実績からお客さんは動くまで待ってくれるかもしれない。だが、全くの新規なら彼らは待たない。待つ理由が無いのだ。ダメなら捨てて次の何かにトライするだけだ」