御殿場には、お転婆で有名なお嬢さんがいた。地元のミスコンを総なめにした上に、地元の不良グループ、暴走族、ヤクザ、マフィアまで支配して、事実上の御殿場の支配者になった。
だが、お嬢さんの野望は留まることを知らず、丘の上の御殿場城の城主になりたいと思った。
一計を案じたお嬢さんは、トンネルを掘ることにした。
便利なトンネルがあれば、誰も山道を歩いて御殿場を通過しないからだ。
御殿場城と城主を讃える旅人がいなくなって、城主はすぐに音を上げた。
御殿場城は、御殿場嬢のものになった。しかし、旅人はトンネルを通り、誰もお嬢さんを讃えなかった。だが、それで良かった。お嬢さんはもうお嬢さんという歳では無かったのだ。
(遠野秋彦・作 ©2016 TOHNO, Akihiko)