その電柱は木星に立っていた。
電柱である以上、電線がどこからか来て、どこかへとつながっていた。しかし、電柱は移動できないので、行き先を確認できなかった。
行き先はたくさんある衛星だろうか。それとも別の惑星だろうか。あるいは小惑星だろうか。
ある日、電柱は思い付いた。
「雀さん雀さん、電線がどこにつながっているか見てきて下さい」
「いいよ」
雀はすぐに飛んでいった。
雀はすぐ戻って来た。「分かったぞ。電線は変電所に繋がっていたぞ」
「それはどこの星だい?」
「さあ」
「それを確かめてくれよ」
「飽きたからやだ」
雀は飛び去った。
(遠野秋彦・作 ©2016 TOHNO, Akihiko)