2016年04月29日
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三百字小説『旗本タイツ男』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 その旗本は退屈していた。

 そこに商人が来て言った。

 「それなら絶対お勧め、タイツです」

 「なんだこの胯間がもっこりする服は」

 「西洋のエロ衣服ですよ」

 「面白い、買った!」

 タイツをはいた旗本は、街を闊歩した。

 女の子達がキャーキャー言いながら逃げ出した。

 旗本は満足だった。

 これほどの退屈しのぎがあるだろか。

 女の子達は目を塞いで逃げながらしっかり指の隙間から胯間のもっこりを見ていたのだ。

 そこに巡邏隊が来た。

 「ご禁制のタイツを堂々と履いた男がいるとの通報があった」

 旗本は真っ青になった。

 巡邏隊が辺りを見回した。

 「タイツをはいているのはドイツだ」

(遠野秋彦・作 ©2016 TOHNO, Akihiko)

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