2016年05月30日
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たまたま見かけたオタクの詭弁トリックの事例

Written By: 川俣 晶連絡先

「たまたま最近見かけた詭弁トリックの事例の例があるので紹介しよう」

「どんな内容?」

「論旨をおおむねまとめると以下のようになる」

  1. おっさんばかり出るアニメも見たいという意見がある
  2. しかし、実際は売れない
  3. 客は嘘をつく (欲しいと言ったものを実際に買うものは違う)
  4. だから、オタクも嘘をつく
  5. おっさんばかり出るアニメを買わないオレ達は正しい (女の子ばかり出るアニメを買うオレ達は正しい)

「客が嘘をつくならオタクも嘘をついておかしくないわけだね。アニメを買うオタクも客の一種だから」

「そうだな。多少怪しいところはあるが、それはそう受け取っても良いだろう」

「あ、分かった。実際にはオタクはアニメを買わずにネットでダウンロードすると言いたいわけだな?」

「外れだ。そういう話をしたいわけではない」

「じゃあ、どこに問題があるんだよ」

「この論理、実は最初から破綻している」

「えー。どうして。【オタクは嘘つき】を肯定したばかりだろう」

「実はそれこそがトリックなんだよ。分かるかい? それは真の問題から目を逸らすために巧妙に配置された情報なんだ」

「うそー。じゃあ真の情報ってなんだよ」

「つまりだな。本来のこの論旨は【おっさんばかり出るアニメを買わないオレ達は正しい】という部分にある。嘘を付いているか否かはこの論旨には本来関係が無い話なのだ」

「えー。じゃあこの論旨って、本来あり得ない結論を求めるためのトリック論旨ってことなのか?」

「そうだ」

「じゃあ、いったいどんな嘘が隠蔽されているんだい?」

「【おっさんばかり出るアニメは売れない】の部分だ」

「それはどういう意味だい?」

「おっさんばかり出るアニメが売れている場合もあるし、女の子ばかり出ているアニメが売れていない場合もある。ヤマト2199やガンダムUCは人気もあったし売れてもいるが、登場人物の大多数はおっさんだ」

「確かにそれはそうだけど……」

「もちろん、売れないアニメもあるだろう」

「売れないアニメは、おっさんか女の子に関係なく売れないわけだね」

「そう。実は、おっさんは見たくないユーザーが一定数の層として存在して、彼らはおっさんばかり出るアニメは買わない。しかし、買う別の層も存在する」

「そうか。層が別なんだね」

「それはダジャレだ」

「つまりなんだい?」

「実は【おっさんばかり出るアニメが見たいは嘘であって実際は欲しくない】は、嘘だということだ。嘘ではなく本当におっさんばかり出るアニメが見たい層は存在するが、あたかもそれは存在しないかのように否定されている」

「なんてことだ」

「おっさんを見たくない層からすれば、おっさんが沢山出てくるアニメは滅んでくれた方が嬉しいだろう。そのような意味で、本当にそういうアニメを見たい層を無かったことにする意味がある。でも、それは現実を反映しているとも言いがたい」

「敵を抹殺するためのトリックであって、事実をありのままに語った誠実な意見とは言いがたいってことだね」

「そうだな」

「でも、男が男に惚れるってホモ?」

「宇宙戦艦ヤマトでいえば、男の真田ファン、男のゲールファンは珍しくもない。かといって彼らがホモというわけでもない。女の子キャラはやはり登場して欲しいと思っている」

「なんで?」

「キャラの魅力は性別に限定されないからさ」

「【性】はキャラの魅力の1つに過ぎないわけだね」

「そうだ。セックスは人間の振る舞いの一側面に過ぎない」

「じゃあさ。女の子ばかりでも様々なキャラクター性を持って個性が豊かならそれで良いという話にならない?」

「なるぞ。でも、中年の真田さんが発揮している問題解決能力を女の高校生が発揮しても説得力がないだけだ」

「じゃあ、中年女が発揮したら?」

「説得力は出るが、【女の子ばかりのアニメ】が欲しい層は中年女を欲しがってはいないよ。たぶんな」

「行き場が無いじゃ無いか」

「そうさ。行き場無くしたおまえを映す十字架♪だ」

「それじゃ、今は刻んだ夢を置き去りにして旅に出るとしますか」