2016年06月09日
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三百字小説『パーマになったアーノルド』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 クラスメートのKDやTNは、頭をパーマにしたとたんにモテモテになった。

 そこで、アーノルドもパーマをかけようと思った。

 ところが、直前になって戦争が始まりパーマは禁止となってしまった。道具が兵器を作るために供出されてしまえば、こっそりパーマをかけることもできない。

 ところが状況が一変した。

 贅沢は敵だの標語で、既にパーマをかけていたKDやTNが反省を求められたのだ。

 彼らはパーマを失うどころか丸坊主にされた。

 アーノルドはしめしめと思った。まだ髪が長いアーノルドの方が格好良かったのだ。

 アーノルドはいつもより丁寧に髪を整えて学校に行った。

 しかし女子がいなかった。

 「女子はどこだ」

 「田舎の学校に集団疎開したよ」

(遠野秋彦・作 ©2016 TOHNO, Akihiko)

遠野秋彦