「原作は昔読んでいてけっこう良く出来ていると思ったのでちょっと期待した」
「それで?」
「でも見たらイマイチだったなあ」
「ぎゃふん」
「音楽は分かった。こういう音楽は分かる。でも古いと思った。乗れなかった。作品に合ってないと思った。音楽的な趣味も少しずれた」
「じゃあさ。なぜ原作は良かったと思ったのに、この映画は乗れなかったの?」
「おそらく、映画という媒体そのものが漫画を描くことに不得手なのだろう」
「それはどういうこと?」
「モノクロ静止画を基本とする漫画は、動くカラーを基本とする映画とは表現レベルで噛み合わない」
「でもさ。それは描いたものの問題であって、人を描くという意味では問題がないじゃないか」
「理屈の上ではその通りだが、その【人を描く】という部分に甘さを感じてしまったのがなあ」
「ぎゃふん」