2016年10月13日
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三百字小説『兵隊薬剤師』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 戦争に負けそうな某国の指導者は、往年のモノクロ映画で【兵隊ヤクザ】を見て閃いた。

 「兵隊とヤクザだけでなく治療できるように医師も合体させたら最強だぞ」

 さっそく某国は、兵隊とやくざと医師を合体させた。

 兵隊のように忠実でヤクザのように凶悪で医師のように仲間を治療できる究極の兵隊ヤクザ医師を作ろうとしたのだ。

 だが、合体した結果は凶悪さのカケラもない平凡な兵士だった。

 「何か特技はないのかね? チャカとかドスとか鉄砲玉とか」

 「薬剤師の免許持ってます」

 「医師免許は?」

 「ありません」

 彼は兵隊ヤクザ医師ではなく、兵隊薬剤師だったのだ。

(遠野秋彦・作 ©2016 TOHNO, Akihiko)

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