2016年11月09日
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UQ HOLDER連載第130回感想【ネタバレ注意】

Written By: 川俣 晶連絡先

「今回面白いのは、精神戦であり十分に緊張して油断していなかったにも関わらず負けてしまうことだな」

「誰だって油断の一つや二つはあるわけだね」

「それから、完全にUQ HOLDERがネギま!2になってきたね。最盛期のネギま!のようにラテン語の呪文が繰り出されて大技の連打が来る。その上、人の心の裏側をぐさぐさとえぐるような辛辣な台詞も出てくる。そして最後にスパッと全てを断ち切るスーパーパワーとしての明日菜登場だ。これらは、まさにネギま!の再来だろう」

「でもネギもナギも敵だよ」

「そう。敵と味方、善と悪はそう簡単に割り切れるものではなく、隣接しているもの。ネギま!で善なるものの側にいた者が同じ側にいるとは限らない。それどころか、UQ Holderで刀太の味方であった者達が刀太を地獄に引きずり込もうとする者達の姿形となる。本来心の支えであったはずのキリヱや夏凛すら助けになってくれない」

「そこがいいわけ?」

「そうだな。1つ1つ希望が砕かれて追い詰められていく刀太。そこは凄く面白い。時間を掛けてじっくりと追い込んでいく。最後の明日菜の救援は無くても良かったと思うが、まあ大多数の読者はアレが無いと耐えられないだろう」

「最後にお砂糖を一杯入れて甘くしないと商品にならないわけだね」

「しかし、よく分かった」

「何が?」

「【時間を掛けてじっくりと追い込んでいく】という要素は、実は週刊連載では難しい」

「一回ごとに話をまとめて次回に引かなければならないからだね」

「だから、今回の内容は、月刊連載のアドバンテージを体現した内容だろうと思うよ」

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