里茂子は他人の言いなるいわゆる使いっ走り、パシリだった。
いつでも思い通りになる里茂子は便利なのでクラスメートから重宝がられた。
しかし、みんなが命令を出しても里茂子の身体は1つしかない。
そこで、壊れたテレビのリモコンを持って来て、それを持っている者だけが里茂子を操作できるとルールが決まった。
次の問題は誰がリモコンを持つのかだった。それは公平にサイコロで決めることになった。
クラス委員がサイコロを振った。
出た目は里茂子の出席番号だった。
里茂子は即座にリモコンを手にすると、自分に命令した。
「パシリの代価をそろそろ取り立てなさい」
(遠野秋彦・作 ©2017 TOHNO, Akihiko)