2017年01月19日
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三百字小説『誕生日がクナイ』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 忍者が支配する忍者国では誕生日に特製クナイを支給する制度が始まった。誰もが特製クナイを楽しみに待った。

 ところが、光速に近い速度で太陽系を離れる宇宙船では、みな誕生日が来ないと歎いていた。船内では時間の流れが遅くなるからだ。

 誰もが「誕生日が来ない」と歎いた。

 それでは可哀想なので制度が改正された。

 しかし、今度は宇宙船にはクナイが無いことが問題になった。

 止むを得ずクナイを積んだ高速宇宙船が後を追いかけた。しかし、なかなか追いつけない。

 今度は皆が「誕生日が来ない」の代わりに「クナイが来ない」と歎いた。

 これが、「誕生日がクナイ」事件の顛末だ。

(遠野秋彦・作 ©2017 TOHNO, Akihiko)

遠野秋彦