チョロ坊は貧乏だった。
そこで、道ばたで拾った路傍の石を売って金にならないかなと考えた。
もちろん、そのままでは売れない。
重要なのは付加価値だ。
チョロ坊は、万病に効くハンドパワーを封じ込めた魔法の石として、落ちている石を売ることにした。
魔法の石は飛ぶように売れた。
チョロ坊は裕福になった。
しかし無理が祟って身体を壊してしまった。
チョロ坊の客達が見舞いに押し寄せてきた。そして、魔法の石をお見舞い品としてみんな置いて行った。チョロ坊には全快して欲しかったからだ。しかし、チョロ坊は良くならず、代わりにチョロ坊の家が石の重みで全壊した。
(遠野秋彦・作 ©2017 TOHNO, Akihiko)