鯖は威張っていた。
自分を海の王者だと自称して、魚たちを支配していた。
しかし、その海にサメが来た。
即座に鯖は逃げ出した。
追っ手から逃れながら生き延びる鯖のサバイバル生活が始まった。
しかし、あわやサメに食われる……というところで目がサメた。
「そうだよな。サメがこの海にいるわけが無いよな」鯖は言った。
「はい、サメは10年前にこの海からは完全に排除されました」鯖の小姓が答えた。
「じゃあ、また寝る」
鯖が眠ったところで、小姓は鯖の首を締めた。
「実力もないくせに支配者を気取りやがって。復讐してやる」
鯖はシメサバになった。
(遠野秋彦・作 ©2017 TOHNO, Akihiko)