2017年07月06日
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三百字小説『威張る鯖のサバイバル』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 鯖は威張っていた。

 自分を海の王者だと自称して、魚たちを支配していた。

 しかし、その海にサメが来た。

 即座に鯖は逃げ出した。

 追っ手から逃れながら生き延びる鯖のサバイバル生活が始まった。

 しかし、あわやサメに食われる……というところで目がサメた。

 「そうだよな。サメがこの海にいるわけが無いよな」鯖は言った。

 「はい、サメは10年前にこの海からは完全に排除されました」鯖の小姓が答えた。

 「じゃあ、また寝る」

 鯖が眠ったところで、小姓は鯖の首を締めた。

 「実力もないくせに支配者を気取りやがって。復讐してやる」

 鯖はシメサバになった。

(遠野秋彦・作 ©2017 TOHNO, Akihiko)

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