「最初、つまんねー映画だと思って見始めたのだ」
「でも、山田洋次監督だろ?」
「もうちょっと面白い映画を撮る人だと思っていた」
「それが結論?」
「いや。最後の方はめちゃめちゃオモロイ。綺麗事の世界が崩壊した後の狂ったグダグダっぷりが凄い。特に母親が死んだ後、息子と永遠にいられると知ったときの狂った微笑み。子供を永遠に独占するつもりか、こいつは。でも、そういう封印された赤裸々な本音が表出する映画なのだよ」
「前半は封印されていた本音が、綺麗事の世界が崩壊した後は出てくるってことだね」
「結局、息子の幽霊は母親の妄想の具現化であって本当の息子では無いのかもしれない」
「かくあって欲しい理想の息子だね」
「結末の良さで序盤のたるさが吹っ飛んだ映画であった」