2017年08月01日
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感想・映画「メアリと魔女の花」【ネタバレ注意】

Written By: トーノZERO連絡先

「良い成長物語の映画であった。子供の成長を健全に描いている。こういうのは最近のアニメではけして多くはないから良かった」

「ジブリ作品に似ていることは?」

「似ている要素が多いことは本質ではない。そこはどうでもいいところ。人々に納得させて見せるのには必要なのだろう。でも本質ではない」

「じゃあ、どこが良い成長物語なの?」

「最初、魔法の力がなければ何も出来ない少女であったが、最後は魔法抜きで障害に立ち向かえるようになる。つまり魔法とは子供が心に抱える万能感の象徴であり、それを放棄することが大人になるということなのだ」

「放棄とは?」

「掃除用具の『ほうき』じゃないぜ」

「飛行用具だね」

「魔法つまり子供の万能感が崩壊する象徴的な描写が、おばあさんが写っている鏡が割れて壊れていくところ。意識的に放棄する象徴的な描写が、最後に残った魔女の花を捨ててしまうこと」

「捨ててしまう?」

「ある意味で、21世紀のマジカルエミだ。あれは最後に魔法を使わないでマジックに挑戦する方が面白いと気づいて、どんなマジックも行うことができる魔法の力を自分から返してしまう」

「それが健全な成長物語ということだね」

「本来は、ガンダムもそうであった。最終的にガンダムは崩壊してアムロとシャアは生身で対決する。その結果、本当に自分にとって大切なことは何かに気づき、シャアはキシリアを撃ちに行き、アムロは仲間のところに戻る。だが、そういう成長物語としての健全性の部分は置き去りにされて怪物に成りはてた。ガンダムという魔法の花を手に入れた業界とマニアは、校長と教員のように狂った怪物に進化してしまったのだ」

「ありゃりゃ」

「そういう意味で、多くのアニメ作品が忘れ去った本来なら重要な要素があったので、この映画は気に入った。そこは大切な部分だ」

「何か付け加えることは?」

「最後に魔法の花を手に持ったシーンで、『この花を捨てたらパーフェクトだ』と思って見ていたら捨ててしまった。パーフェクトだ」

「他には何か?」

「箒係のおじさん、繰り返し意外な箇所に登場して、職務に忠実な行動しかしていないのに話の流れをいちいち変える。良く出来ている構成だ」