「感想はなんだい?」
「面白かったよ。いかにも80年代って感じで」
「それは良かった」
「でも、またもや酷い嘘邦題じゃねえか。怪盗グルーのミニオン大脱走って、グルーは怪盗じゃないし、ミニオンは脱走するけどストーリーの本質と何の関係も無いし。脱走は、単に流浪のミニオンが経験する主要ではない1イベントに過ぎない。原題はDespicable Me 3。ぜんぜん違う」
「この映画はどんな映画なんだ?」
「グルーの全方位が悪事への誘惑で満たされる。だが、その中でグルー本人は誘惑すらも利用して悪事への誘惑をはね除ける」
「誘惑をはね除けるグルーが良いわけだね」
「ハリウッドをぶっ壊しに行くのも爽快だし」
「他には?」
「敵も良かったよ。80年代的で」
「そこか」
「あとは、少し大人びたメガネの長女がいいよな。義母にもっと叱って良いのだと進言したら、それによって自分が望まないことをさせられるし」
「グルー本人は?」
「ドルーと対立したり融和したり、もう一人の自分の誘惑になっていて良かった」