2017年09月14日
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三百字小説『赤法師レズ』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 ある街にスケベな法師が出現して女の子達は逃げ惑った。彼は赤い袈裟を身に纏っていたので、赤法師と呼ばれた。

 さっそく警官が赤法師を逮捕した。

 「赤法師、あんたにはスケベな男を禁止する法律違反で逮捕状が出ている」

 「なんと。私は該当しないではないか」

 「しらばっくれるな。女の子のスカートをめくって乳や尻に触ったことは調べが付いている」

 「確かに、スカートはめくったし女の子に触ったことはあります。しかし、私はスケベ男じゃありません」

 「何を意味の分からないことを。罪状は明らかじゃないか」

 「だってホラ」

 赤法師が袈裟をめくるとそこに男性器はなかった。

 「ね。男じゃないでしょ?」

 赤法師はレズだった。

(遠野秋彦・作 ©2017 TOHNO, Akihiko)

遠野秋彦