2017年10月12日
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三百字小説『くじらのくらし』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 鯨の人生は歌そのものだった。

 ノーミュージック、ノーライフだった。

 ある日、音楽に聴き惚れて泳いでいると船に衝突してしまった。音楽が止まって船は沈み始めた。まさにノーミュージックだった。

 「ライフボートを降ろせ!」誰かが叫んだ。

 「ありません!」

 まさにノーライフだった。

 ちなみに鯨の人生には歌しかなかったので、独身だった。

 まさにノーワイフだった。

(遠野秋彦・作 ©2017 TOHNO, Akihiko)

遠野秋彦