「実体がよく分からないと言われるIoTだが、秋葉原の電子部品ショップに行くと具体像がよく見えてきた。IoTは本物の波が来ると思う」
「なるほど。期待しているわけだね」
「いや、期待じゃない。実際の動きだ」
「なるほど」
「それに対して、AIや量子コンピュータは補完的な役割しか果たさないという予感」
「今行われている作業を全てパワーアップしてくれるわけではないわけだね」
「そうだな」
「じゃあ、IoTはどの段階で花開くと思う?」
「もう開き掛かっている。おそらく、IoT専用の特殊なソフト開発ツールなど必要ない時代は目の前だ」
「というと?」
「既にラズパイ買ってくればLinuxでもWindowsでも動く時代だ。特別な知識はどんどん要らなくなっている」
「なるほど」
そうすると…… §
「ところが、そこまで行くと別の恐い考えに辿り着いてしまう」
「それはなんだい?」
「ラズパイとスマホ、大きさにそれほど差は無い。まあスマホの方が薄いがね」
「それで?」
「ラズパイでデスクトップで使うような普通のOSが動いてしまったら、ソフト開発上の大きなアドバンテージになるが、なぜ同じことがスマホでできないのだ」
「Window Phoneはほとんど同じOSが動いていたね」
「だがWindow Phoneは内外からバッシングに晒され、闇に葬られて消えた」
「その結果として、AndroidとかiOSとか、似て非なる別のものがはびこったわけだね」
「そう。それらはデスクトップと互換性がない上に、スマホOS間でも互換性が無い」
「つまりなんだい?」
「ソフト開発上の邪魔な存在になる」
「えー」
「デスクトップから簡単にIoTの世界に行けるのに、同じ気軽さでスマホの世界に行けないとなれば、【気の利かないスマホは時代遅れ】として【時代遅れのレガシーな存在】として叩かれる可能性もあると思うよ」
「イメージできないな」
「かつて時代の大先端だった携帯がガラケーとして叩かれた歴史を思い出せばイメージしやすいだろう」
「なるほど。最先端の格好いいデバイスのイメージは永遠ならずか」
「実際に、分断されたソフト開発モデルに嫌気が差している開発者も多いからね。スマホ専用の特殊OSを駆逐するとなれば賛成する人は割と多いと思うよ」
「ポイントはどこだと思う?」
「スマホの性能がアップして、特殊な専用OSではなく、一般OSの稼働を許してしまった時点でもう世界はひっくり返りうると思う」
「特殊OSを要求するスマートじゃないスマートフォンの時代が終わるわけだね」
「そうだな。おそらく近い将来、スマホが特別な立場から降りて、一般OSが稼働するPCやIoTのネットワークの一員になるのだろう。同じOSが稼働してな」
未来は予測できない §
「そうなったときのOSは何が主流になると思う?」
「さあ。それは知らない。しかし、現状で言えばおそらく候補はLinux, Windows OS, Mac OSしかないだろう」
「でも、WindowsはPhoneの世界から降りちゃったね」
「そうだな。そこが弱い。しかし、1社の製品でしか使用できないMac OSも弱い」
「スマホ限定なら圧倒的な支配力を持ったAppleも、巨大ネットワークにあらゆる機器が接続させる世界なら存在感が縮んでしまうわけだね」
「じゃあ、Linuxかといえば、死ぬほど基本設計が古いLinuxでこの先もずっとネットワークを支えていけるのかと言えばそれは分からない」
「じゃあ、どれが本命なんだよ」
「さあな。どれも本命とは言えない」
「じゃあ未来は暗い?」
「新世代の標準OS仮称ミラクルXが登場する可能性は常にあるさ」
オマケ §
「仮称ミラクルXに要求される資質は?」
「デスクトップPC、スマホ、IoT、もちろんゲーム機やルータやNASに組み込まれたOSも含めて全てで使えるようなスケーラビリティと柔軟性があって、コストはLinux以下。安全性も重視されていて、最小構成はコンパクトで軽量。そんな感じじゃないかな」
「タダで入手できるLinux以下のコストって何だよ」
「実はLinuxって運用コストがけっこう掛かるので、コスト的にLinux以下は可能だと思うよ」
「最盛期には4台も稼働していたLinuxサーバが結局1つも残らなかった過去があるわけだね」
「立ち上げるだけなら簡単なんだけどね。維持管理費は別」