2018年02月01日
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三百字小説『水たまりの水田真理』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 水田真理は水たまりに執着していた。

 全ての水たまりを飛び越えることが目標だった。

 水田真理は小学生だったから、雨上がりの登校で水たまりに足を突っ込まないためだった。

 しかし、中学生になると逆にそれが目標になった。より大きな水たまりのある道を探し、わざわざ遠回りして登校するのだ。

 高校生になると水たまり王選手権で優勝するほどの水たまり界の女王となった。

 もはや敵はない。

 あらゆる水たまりは水田真理の軍門に降ったのだ。

 ところが、大学生になった水田真理はとんでもないことを聞いてしまった。

 「摩周湖は法律上湖ではなく大きなみずたまりに過ぎない」

 水田真理は摩周湖を飛び越えるべく新たなトレーニングを開始した。

(遠野秋彦・作 ©2018 TOHNO, Akihiko)

遠野秋彦