2018年04月26日
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三百字小説『獣雷装艦』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 A国の魚雷は貧弱で、イルカにすら追い越されるほど遅かった。しかも、命中精度が低かった。

 ここで発想の転換が行われた。

 イルカ並みのスピードならイルカに爆薬を付けて泳がせればいいじゃないか。しかも、命中精度アップまで期待できた。イルカに敵艦に向かうように学習させれば良いのだ。

 こうして新型魚雷【獣雷】と、獣雷を扱う設備を備えた獣雷装艦が完成した。

 「いよいよ、初陣だ!」

 獣雷装艦から獣雷が発射された。

 作戦は大成功だった。

 次々と敵艦が沈んでいった。

 全ての敵艦が消えると獣雷達は目標がなくなって困った。その時、ちょっと形は違うが、まだ浮かんでいる別の軍艦を彼らは発見した。彼らはその軍艦に突進した。

(遠野秋彦・作 ©2018 TOHNO, Akihiko)

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