「今日は入館無料と聞いて行ってきた」
「貧乏人」
「本来は北杜夫コレクションが目当てであった。しかし、実は北杜夫コレクションと言っても斎藤茂吉の展示も多かったり、これが創作ノートと展示されていても単なる確認するだけの作業になってイマイチ盛り上がりがなかった。それに対して、林芙美子の方は面白かったよコンチクショウ」
「どこが面白かった?」
「右翼にもなれず左翼にもなれないアナーキストというのが面白すぎるぜ」
「えー」
「ひたすら貧乏の辛い人生がヒシヒシと感じられる詩も良かったね」
「それがいいのかよ」
「生々しい人間が感じられる。大作よりも生活のリアリティを重視する姿勢も納得が行く。割と感性が近いのかも知れない」
「時代が違うよ?」
「それだけ、今の世相は当時と似ているということだろう」