2018年05月24日
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三百字小説『採尿人間 採尿具009』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 西暦21XX年。日本は超高齢化社会となり、老人介護の人手が足りない状況に陥っていた。

 もはや、人間を改造して強化する以外に対応策はなかった。

 僕は、寝たきり老人の採尿に特化した採尿人間に改造され、採尿具009という備品番号を付けられた。

 「6号室の田中さんが漏れそうよ。至急出動して!」

 「了解。加速装置で急行します」

 とまあ、こういった感じで人間にはできない速度で採尿をこなしていった。

 そんな009にも春が来た。

 同僚の採血具003といいムードになったのだ。

 やっと009にも春が来た。

 二人はデートに出かけた。

 「ビールはトイレが近くなって困るわね」

 「了解。加速装置で急行します。迅速採尿!」

 いいムードは壊れた。

(遠野秋彦・作 ©2018 TOHNO, Akihiko)

遠野秋彦